話せない、話したい人は英会話アプリは効果的?

こういう相談がありました。

「毎日アプリを30分やれば、3か月で話せる?ということで始めたが、あまり上達しない」たしかに、30分でも基礎力は伸びますが、対話力は同期的会話なしには難しいです。

「発音はアプリだけで直せるの?」自動音声評価で改善は期待できますが、ネイティブが理解するレベルの自然さは人によるフィードバックが重要です。

「アプリで練習しれるけどやっぱり不安はある」実践不安(相手と話す時の緊張)は別途対策が必要です。

アプリは限定的に有効ですが、実会話(対面)の代替にはならない。

英会話アプリは「語彙・文法・聞き取り・復習習慣」の習得で明確な効果がある一方で対面会話で要求される空気感、視線・表情などの非言語コミュニケーション、即時の相互調整(会話修復)の訓練としては限界があります。

「話せるようになりたい」人は、アプリを基礎固めと自主学習の習慣化ツールとして使い、実際の会話練習(対面または高品質な同期型練習)と組み合わせるのがベストの方法です。

それでは、細かく解説します。

英会話アプリが得意なこと

語彙・文法・リスニング(受容的スキル)

メタ分析やMALL(Mobile-Assisted Language Learning)のレビューは、モバイルアプリを使った学習が学習成果に対して中~大の効果を示すと報告しています。

https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9479751/?utm_source=chatgpt.com

発音・イントネーションの改善(限定的)

スマホの音声フィードバックや発音練習機能で発音改善のエビデンスが増えていますが、完全な自動評価はまだ発展途上で、「実際の会話で相手に伝わるか」は別問題と結論。

https://link.springer.com/article/10.1007/s10639-024-12453-0?utm_source=chatgpt.com

モチベーション・不安の軽減

アプリやCALL/MALLは環境のハードル(教室に行く心理的負担)を下げ、学習モチベーションや自己効力感を高める効果があります(動機づけや不安の減少に関する研究)。

https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9416476/?utm_source=chatgpt.com

アプリが苦手・限界となる領域は特に「話せる」ために重要

インターアクション(双方向のやり取り)/即時修復能力

対面会話では相手の視線、ジェスチャー、間(ま)を読み取りつつ発話を調整します。これらはアプリの自動対話(音声ボット含む)では再現しにくく、自然な間合いの取り方や会話修復(聞き返し・言い換えなど)の訓練に乏しいとされます。

CALL系のスピーキング研究は「構成的な補助は可能だが、対話に不可欠なリアルな相互行為は再現が難しい」と報告します。

https://www.researchgate.net/publication/385514393_Computer-Assisted_Language_Learning_for_Enhancing_Speaking_Skills?utm_source=chatgpt.com

非言語コミュニケーション(表情・身振り・空気)

発話内容以外の情報が会話理解と流暢さに寄与するため、これが欠けると「言語は知っているが通じない/会話が続かない」状態が残りやすい

実用的流暢さ(プロスペクティブ・パフォーマンス)

試験形式のスキル(ディクテーション、選択問題)では高得点をとれても、現実の会話での即応性と柔軟な表現選択は十分に鍛えられない場合があります。研究レビューでも、リスニング・リーディングに比べスピーキングが最もクロースされにくいと指摘されています。

https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9479751/?utm_source=chatgpt.com

日本における背景データ

なぜ「話せない」人が多いかのヒント

EFの英語能力ランキングでは、日本は2024年のEF EPIで低い(ランク92 / 116、スコア454)位置にあり、教育システムや学習機会の偏りが示唆されています。学習はしているが実践練習が不足している傾向があることが示唆されます。

https://www.ef.edu/epi/regions/asia/japan/?utm_source=chatgpt.com

研究から見える「アプリ単体」で話せるようになるかの実像

メタ分析は学習成果全体に対しては有効性を示すが、スピーキング(会話の流暢さ・相互コミュニケーション能力)に特化した効果は研究によってばらつきがあり、特に「対面での自然会話力」を測る研究は限定的です。

つまり、アプリで語彙・発音・文法を鍛えた学習者が「自信を持って話せる」ようになる可能性はあるが、自然な会話の成立=相手の反応に合わせて調整できる力は別途練習が必要、というのが現状の研究が示す所見です。

実務的な推奨

「話したい」人向けの学習プラン

最短で「話せる」ようになるためのハイブリッド戦略(推奨)

アプリ:毎日の基礎固め

語彙、基本フレーズ、瞬時反射(例:フレーズ集のシャドーイング)をアプリで習慣化する。SRSで語彙定着。

同期的会話練習(週1~3回)

iTalki等のオンライン個人レッスン、あるいは言語交換の「リアルタイム会話」。相手の反応に合わせる訓練ができる。

フィードバック指向の学習

録音して自分で聞く・第三者(講師)に発音と会話戦略のフィードバックをもらう。発音では自動評価+人の評価を併用。

実践的タスク学習

「目的」を持った会話(旅行の予約、会議での発表、面接)をシミュレーションして練習する。タスクベース学習が会話力向上に有効です。

不安対処と自信形成

小さな成功体験(短い英語のスピーチ、3分会話)を積み重ねて自信を作る。CALL/MALLは不安軽減に貢献します。

アプリだけで「話せる」と期待しないほうが良い人

海外赴任・ビジネス交渉・面接など、高い即応性が求められる場面では、アプリ単体に頼るのはリスクがあります。同期型の実践トレーニングとフィードバックが不可欠です。

Q&A

まとめを兼ねてQ&Aをつくりました。

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